1.道ばたでの、女住同士の会話
(1)おきばりやす。朝はよから(2)おせんどさんやな。大根がぎょうさん取れて、(3)てごに一杯やわ。小豆も(4)どんべに2杯も取れたわ。大豆はまだ(5)みずぼやけどな。(6)せんどお世話になってるで、(7)かどぐちの(8)あがりとに大根2本と(9)かんらん置いとくわな。(10)あんないかもしれんけど食べてみて。
(11)きんのは、法事に参らしてもろておおきに。(12)おおよばれしたわ。こっちこそ、(13)ごたいぎかけて、おおきに。親元の(14)ね一やんは、去年まだ若いのに(15)まいらてもらわったんやな。(16)ういことが起こったな。(17)に一やんは法事に(18)ござったな。に一やんは、元気やけど私は腰が痛いんや。に一やんが(19)けなるいわ。年をとるのは(20)ごむよさんやな。(21)まぜごとの準備は大変やから、お互いあんまり(22)おおぼは、せんとくこっちゃな。物を(23)だだくさに使うのもあかんな。(24)こうとにしてかんと、お金は(25)だだけに出て行くし。あっそや、大阪から、子供さんも(26)もんでごんしたな。法事が終わったら※1近江長岡行きのバスで(27)いんでもたんや。
(28)もうじき寒むなるし、(29)ばんとこや(30)でんちも用意せなあかんな。(31)ももひきもや。(32)ぬくといかっこでないと風邪ひくしな。雪が降るまでに(33)ごいずきも出さなあかんな。
(34)ひのくれになってきたでもう、(35)げこするわな。また、家に遊びに(36)ごんせ。そんなに遠慮せんでも(37)だしかいな。
隣のおシノさんとこにも、これから大根5本ほど持って行こう。このあいだ、にんじんもらったし、これで(38)ずっぺこっぺや。(39)おしまいやす、(40)じぶん悪い時に来てこらえて。この大根(41)ほんの一つやけど、よばれてみて。
*1 昭和32年ごろまで、長浜駅から近江長岡駅まで、ボンネット型のバスが1日3往復くらい走っていた。料金は大人10円、子供5円であった。
1.働いている人への挨拶 | 2.ご苦労さん | 3.藁で編んだ物入れ | 4.竹で編んだ小かご |
5.未熟 | 6.何度も | 7.家の入り口 | 8.玄関の上がり場 |
9.キャベツ | 10.まずい | 11.昨日 | 12.大変ご馳走になる |
13.大層なこと | 14.姉 | 15.亡くなる | 16.辛い、苦しい |
17.兄 | 18.来る | 19.うらやましい | 20.ご無用 |
21.観光葬祭など | 22.近所付き合い | 23.粗末に、沢山 | 24.質素、じみ |
25.沢山 | 26.帰ってくる | 27.帰る | 28.すぐに、近々 |
29.こたつ | 30.チョッキ、ベスト | 31.下着ズボン | 32.暖かい |
33.木の除雪スコップ | 34.夕方 | 35.帰る | 36.来る |
37.まだまだ、遠慮なく | 38.平等 | 39.夕方の挨拶 | 40.忙しい時に |
41.少ない |
(35) 下講・・・寺で法話を聞いて帰るときに「げこ」すると言った。
2.男性A三郎とB五郎の合話
- 久しぶりに、おおたけど(42)まめにしてるか?
- きんのは、(43)しょんぼけと(44)せんちの(45)こえもちして、(46)ひんなかかかったわ(47)さらっぴんの服が汚れてしもてな。それから、(48)おくどさんの(49)たきもん取りに山へ行ってきたんや。(50)しば小屋いっぱいになったわ。(51)こえたごかついたで肩が痛いし、もう(52)わやや。あしたは畑を鍬で(53)こぼるつもりや。ワシは、(54)えらちで(55)そそべやさかい、えかげんな仕事やけどな。
- (56)おまはんは、※2(57)青年団の運動会でよう走ったな。いつも一番やったけど、ワシは(58)げべっちゃやったな。吉兵(59)こも太郎こも(60)どべやったな。おまはんは、絵は(61)どべたやったけど。
- ワシは、子供の頃から(62)すばしこかったし誰にも負けへんかったな。やんちゃで親に(63)やいとすえるぞ言われて怒られたわ。ほんで、いま隣の(64)どぼずと(65)めろがやんちゃしても怒れんわ。
- 今(66)でしなに(67)こまざらえで掃除してたら猿(68)めに、あまんぼ取られたんや。木の(69)ねきで、うまそうに食べとって(70)ごわいたわ。(71)ながたんと(72)ばい持って追いかけたろかと思ったんや。この間は、家(73)はいりとで猫めに(74)くそされて、(75)なぶるのいややから、そのままや。(76)さいぜん、その猫がウロウロしとるで捕まえて(77)ほかしに行こかと思ってるんや。(78)よさりは、犬がウロウロしとるしな。
- 猿め怒ったら(79)あこかい。あいつらは(80)あたんしよるでな。猿めに取られても(81)だんないがな。(82)ぎょうさん作ったんやろ。取られたのは(83)めめんかすやろ。ところで、権兵衛こ、ええ(84)隠居建てよったな。(85)せいらいと、お祝いの(86)ばっぱ持って行くわ。(87)こびるにでも食べてもらうわ。
- ほやな、(88)おおさわな(89)じむね使ってな。みな自分の山の木やで。(90)からきだちには、みんな手伝いに行ったんや。あの大工の後始末は(91)はんちゃらけんで、(92)ばばしまな仕事しとるで。
- ほんなことないで。ほんな悪口ゆうのは(93)あんまりやで。(94)よぞい奴やと思われるぞ。
- そやな、ワシが悪かった。(95)こらえてな。
- こらえたるで、さっきのばっぱ、ワシにも(96)たい。(97)よくどしいと思わんと。冗談やで。ほんまにもろたら、(98)ういがな。
- ばっぱの話してたら(99)ひだるて仕事できんわ。
*2 昭和47年代までの各集落には、15歳になると入会する「青年団」組織があった。春と秋祭りの太鼓の準備やため池の水落としなど村から任されていた。
42.元気 | 43.小便場 | 44.大便場 | 45.下肥運び |
46.午前中 | 47.新品 | 48.かまど | 49.薪など |
50.薪、柴等の置き場 | 51.下肥を運ぶ桶 | 52.無茶 | 53.壊す |
54.せっかち | 55.T寧ではない | 56.あなた | 57.* |
58.最後尾 | 59.* | 60.最後尾、ビリ | 61.下手なこと |
62.俊敏 | 63.戒めの言葉 | 64.男の子 | 65.女の子 |
66.出かけるとき | 67.熊手 | 68.* | 69.近く |
70.腹が立つ | 71.包丁 | 72.棒 | 73.入り口 |
74.大便、うんこ | 75.触る、ふれる | 76.先ほど | 77.捨てる |
78.夜 | 79.ダメ | 80.仕返し | 81.許す |
82.沢山 | 83.ほんの少し | 84.離れ、別邸 | 85.早く、すぐに |
86.あん入り餅 | 87.夕食までの食事 | 88.大層な、大げさ | 89.棟に設置する大木 |
90.家建て | 91.中途半端 | 92.T寧でない | 93.ひどすぎる、失礼 |
94.恐ろしい | 95.許して | 96.欲しい | 97.欲深い |
98.申し訳ない | 99.腹がへる、空腹 |
- ※男の人の名前を呼ぶときは、名前の後に「こ」を付けていた。元々は「家康公、信長公」のように尊称であったと思われる。しかし、目上の人を呼ぶときは「こ」は付けていなかった。
- 「犬め」「馬め」「アホめ」など、動物や人を軽蔑する意味で「め」を付けた。
3.その他、今では死語となってしまったB常の言葉も沢山ある
昔の言葉 | ➡ | 現代語訳 |
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1.いかい | ➡ | 大きい |
3.おびかわ | ➡ | 皮のベルト |
5.きりばん | ➡ | まな板 |
7.さんどいも | ➡ | ジャガイモ |
9.すみくた | ➡ | 隅の方 |
11.しんしょ | ➡ | 財産 |
13.よけのまえ | ➡ | 余分 |
15.かいこと | ➡ | 交換 |
17.ちょこざいな | ➡ | 生意気な |
19.おとっつあん | ➡ | お父さん |
21.すこい | ➡ | ずるい、悪賢い |
23.どべん | ➡ | ひと癖ある |
昔の言葉 | ➡ | 現代語訳 |
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2.いしな | ➡ | 石 |
4.がんがん | ➡ | 缶、ブリキの入れ物 |
6.こうらい | ➡ | トウモロコシ |
8じょうら | ➡ | あぐら |
10.ちんころ | ➡ | 子犬 |
12.どぶしょ | ➡ | 汚い |
14.よさり | ➡ | 夜 |
16.しゃっぽん | ➡ | 帽子 |
18.てんま | ➡ | ボール |
20.ぼんのくそが良い | ➡ | 運が良い |
22.おんごろ | ➡ | もぐら |
24.だんない | ➡ | それで良い、許す |