死語になった『やんす』

滋賀県北部には、独特の「やんす」言葉がある。「家にやんす。仕事してやんす」のように。菅江でも「やんす」を遣うのは、昭和生まれの人に限られてきた。今の小学生が、「やんす」言葉で話している場面に、出会ったことがない。

私の経験から

👆その1

私の教え子が、大津市内の短期大学に受験に行った時の話。控え室で一緒に受験に行った友達と普段どおり「やんす」を遣って話していた。その時、同じ控え室にいた大津市内の受験生から「あんたら、どこから来たの?随分と訛ってるね」と言われたという。受験から帰ってきた生徒に、その話を聞いて職員室の皆が大笑いをした事を覚えている。きっと、県外の遠方から受験に来たと思われたのだろう。私の推測では、長浜文化圏の旧山東町や旧伊吹町に住む人は「やんす」を付けて話している。彦根文化圏の旧米原町に住んでいる人は、「やんす」をほとんど話さないように思う。

👆その2

長浜生まれの私の友達A君は、大阪の大学に進学した。大学でも親しい友人ができてきた頃、それまで控えていた「やんす」言葉が出てきた。大学の友人B君から「その、やんすは何やねん?」とたずねられた。その後B君はA君の真似をして「そうでやんす」と言った。すかさずA君は「その、やんすの遣い方は違う」と指摘したそうである。

👆その3

湖北に行くと面白い言葉がある

  1. 「じきにもんでこんすほん」
    ➡すぐに帰ってくるだろう
  2. 「もういぬんか?」  ➡もう帰るの?
  3. 「友達がきゃんたわ」 ➡友達が来たわ
  4. 「明日友達がごんすわ」 ➡明日、友達が来る
  5. 「お前ちょかんなや!」 ➡君、調子に乗るなよ!
  6. 「髪の毛がまつばってもた〜」 ➡髪の毛が、絡まった

1〜6、菅江の人ならわかるはず。大津や大阪辺りから訪れる人にとっては、面白いらしい。


次ページ → 近代化