発刊に寄せて

「須恵器の里・菅江」発刊に寄せて 

今、地方の暮らしや生き方が注目されています。大地震は、都市の脆さを、コロナは働 き方、暮らし方に選択肢があることを気付かせてくれました。都市の機能や人口集中のメリット、情報や技術を地方にいても活かせる時代です。 

企業が都市のオフィスに疑問を持ち、人々は、居住の地にすべてを置かなくても、田舎 で、都市や他の地方と関わる関係を作り始めています。そこでは、地方に「どんな生き方 があったのか」を知ることで、「どう生きたいか」に繋がっているとも言われています。 この度、「菅江」 で、地元の暮らし、身近な人々が「どんな生き方をしたのか」という時代の事実を、後生に引き 継ぐ貴重な「記録文章」が発刊されました。 

同じ体験があるからでしょうか、どこを読んでも、読み返したくなります。 特に、戦中、戦後の証言、戦争がも たらす悲惨さは、静かな語りではありますが二度と繰り返してはならない悲痛な叫びを聞かせていただきました。 菅江に暮らした人々の生き様、暮らしの有り様は、現代、後生の人々に「どう生きたいか」の問いに向き合う、 次代を生きる人々への貴重な贈りものです。 

発刊者「すえクラブ」の皆様には、編纂と発刊のご尽力に心から敬意を表し、同世代の一人として、この「須恵 器の里・菅江」は、私の得難い蔵書にさせていただきます。 

令和四年四月 

米原市長 平尾道雄